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色素増感太陽電池 キットの最新情報は、こちらから。


プラスチック色素増感太陽電池(基本編)を作ってみよう(写真図解版)

 

色素増感太陽電池の作り方

 

ここでは、実験キット(基本編)のマニュアルで、説明しきれなかったところを写真入りで解説しています。

マニュアルを参考にしながら、読んでみてください。

 

1、ケースの中身を確認しましょう。

 

ケースの中には、マニュアルと、実験用具が入っています。この箱の中の材料だけで、一番初歩的な、色素増感太陽電池を作ることができます。

高性能な、ソーラーモーターをぶんぶん回すような太陽電池を作りたい人は、、、「ごめんなさい!」

この「基本キット」のセットでは、残念ながら、モータを回すことができる電池は作ることができません。

この「基本キット」では、ようやく電子オルゴールがなるくらいの太陽電池を作って、光発電の仕組みを体験することを目的としています。

 

また、1時間くらいの時間があれば、発電の確認まで、できるように部材をそろえています。

はじめて作る人は、できれば、太陽電池のことを知っている人と一緒に作ってみるとよいと思います。

 

高出力の太陽電池を作りたい方は、ペクセル・テクノロジーズ社までお問い合わせください。

また、プラスチック色素増感太陽電池の作り方を直接教わりたい方も、ぜひご一報ください。

 

それでは、実際に基本キットを作ってみましょう。

 

2、透明導電プラスチック?アイティーオーペットフィルム?

色素増感太陽電池作製の第一段階は、透明プラスチック基板に「酸化チタンペースト」を塗布します。
まず、色素増感太陽電池の構造と仕組みをもう一度確認してみましょう。

「電池」を作るわけなので、電気が流れる材料を使わなくてはいけません。

今日の色素増感太陽電池は、片面は電気が流れるプラスチックフィルムを使います。

 

「片面に電気が流れるプラスチックって?」

ケースの中には、袋の中に、透明導電プラスチックフィルム(名づけてITO-PET、アイティーオー・ペットフィルム)が入っています。


これは、皆さんが普段飲んでいるペットボトルのフィルムの片面に、「透明導電膜」がうすーく付けてあります。

アイティーオー・ペットフィルムは、普段の生活の中では、タッチパネルとかに使われています。

ほら、皆さんも持っていませんか?今はやりの携帯ゲーム機!画面をタッチして、ボタンを押しますよね。

タッチパネルも、このような片面だけ電気が流れるプラスチックフィルムを使って、スイッチを作っています。

 

それでは、本当にプラスチックフィルムに電気が流れるかどうか、確認してみましょう。

 

3、プラスチックフィルムの導電面(電気が流れる面)を確認する。

キットの中には、電子オルゴールと乾電池が入っています。

 

電子オルゴールを実際に鳴らして、ITO-PETフィルムの導電面を確認してみます。

まず、台の上に、ITO-PETフィルムを置いきます。
(写真では、キットの中の定規の上に置いてあるのですが、なにぶん透明で、肝心のフィルムが見えにくいですが、、、)

フィルムの上に乾電池を置きました
。乾電池は、おへそがあるほうが「プラス」、平らな方が「マイナス」です。
ということは、下の写真では、

乾電池は、プラスを上にして立っています。

 

オルゴールは、「赤い線」と「黒い線」が出ていますが、

「赤い線」は、プラス端子に、

「黒い線」は、マイナス端子に、

接続します。
ということで、乾電池のおへそには、赤い線、平らな面には、黒い線、を接続します。

くれぐれも、配線を間違えないようにしてください!

上の写真の左は、指で、オルゴールの配線を「こより」のように巻いています。
まとめてあったほうが、のちのち使いやすくなります。

 

上の右の写真のようにオルゴールの黒い線と、乾電池のマイナスを置いたとき、
オルゴールの音が鳴る面が、ITO-PETフィルムの電気が流れる面(導電面)になります。

 

導電面は片方しかないはずです。確認してみましょう。

 

4、ITO-PETフィルムを定規の上に固定する。

次に酸化チタンペーストをITO-PETに塗って、太陽電池の電極(マイナス電極)を作ります。

酸化チタンペーストの紹介は、次にすることにして、まず、酸化チタンペーストを塗布する準備をしましょう。

 

実験キット(基本編)では、色素増感太陽電池を3個、作ってみます。

なんで、3個なの? 
というのは、実は、色素増感太陽電池の出力に関係があります。

(実験キットのマニュアル問題の答えを、先に言ってしまうのですが、、、)
このキットで作る太陽電池は、出力電圧としておよそ「0.5V」となります。

 

一方で、キットの電子オルゴールは、「1.5V」の電池がないと、音が鳴りません。
普通の乾電池は、1.5Vなので、オルゴールは元気よく鳴るのですが、
色素増感太陽電池は、1枚ではオルゴールの音が鳴らないのです。
そこで、3枚を直列に接続して、オルゴールを鳴らそうという作戦です。

 

3枚のマイナス電極を作るために、マニュアルにしたがって、ITO-PETフィルムを定規の上にセロハンテープで固定しましょう。

 

    

 

    

 

ここで、長い辺のセロハンテープは、「3枚重ね」にしてください。3枚重ねにするのは、酸化チタンのペーストを少し厚めに塗るためです。

酸化チタンペーストは、分度器をへらの代わりにして塗りますので、分度器がセロハンテープの上をスムーズに動くか確認してみましょう。

   

 

5、酸化チタンペーストを塗る

それでは、いよいよ、酸化チタンペーストを塗布します。
酸化チタンは、身の回りにたくさんある白い塗料の原料だったりします。

このキットの酸化チタンペーストは、50 nmnmナノメートルは、1m1/10001/10001/1000)くらいの酸化チタンの粒子を、水とアルコールに分散させたものです。

色素増感太陽電池の電極は、「透明導電膜の上に酸化チタンフィルム」がのっている形です。
ペーストの中の酸化チタンは、「粒子」なわけですが、電極にするためには、粒子同士をくっつけてやらなくてはいけません。
粒子がくっついていないと、電気が流れないのです。

 

キットに入っている酸化チタンペーストは、「低温成膜用酸化チタンペースト」と呼ばれています。
塗って、室温で乾燥させるだけで、酸化チタン粒子同士をくっつけてしまう特殊なペーストです。

どれくらい特殊なペーストなのかの説明はここではしませんが、とりあえずすごいです。
すごいといっても、さすがに室温で乾燥させただけでは、もろいものなので、大切に扱いましょう。

 

酸化チタンペーストをキットから取り出したら、まず、よく振りましょう。
ペーストの中身を均一に混ぜておくことがポイントです。

よく混ぜるといっても、10秒で10回くらい振ればよいと思います。

次に、酸化チタンペーストを、先ほど定規の上に貼った、セロハンテープの上にたらしていきます。

    

 

    

 

 (写真より、もう少し多くペーストを使ってもよいかも。。)

ペーストをセロハンテープの上に置いたら、分度器を使って、ペーストを広げます。

このとき、「軽−く、表面を滑らすような感じ」で、ペーストを広げてください。くれぐれも、「ごりごり」力一杯こすらないように!

    

 

 

こんな感じで酸化チタンを塗布します。
写真の例は、ちょっとペーストが少なかったので、少しムラになってしまいました。
が、多少ムラはあっても大丈夫です。気にせず、次に進みましょう。

酸化チタンペーストの乾燥がはじまったら、

           「そのまま、自然に乾燥させてください。」

もし、あまりにも塗布のムラが多いな、と思ったら、一度ふき取ってもう一度塗ってください。

重ね塗りは、あまりよくありません。

酸化チタンペーストを乾かしている間に、次の作業に進みましょう。

 

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